パンツの折山付け -クリーズ線四方山話ー
FROM:飯田雅章
本社工場より
1000本程、パンツの仕上げを急ぎで終わらせた。
折山付きのパンツで、ポリウレタンが入っているからいかようにも伸びる分、仕事がし辛い。
縫製はきちっとしていて製造工程で折山線のリード線が取ってある。
このリード線が実はくせ者だ。
縫製でリード線を付けるのは、パターン上にある折山線を忠実に取っていて、会社によってはヒップラインから上の線止まりのところだけ微妙に中心にカーブさせることがある。
メガアパレル級の会社ならほとんどそういうこだわりの折山線を指示しているだろう。
しかし、現場ではほとんどの場合内外を合わせた二つ折りで折山を取るのでヒップから上のカーブに手こずる。
リード線がしっかりと残っていればいいが、大抵は縫製工程に組み込まれている生蒸気アイロンで付けられた線なので、プレス屋が大量な蒸気が発生するトンネルフィニッシャーやボックスプレスなどに通すと、消え入りそうなぐらいしか残っていないことが多い。
消えるなら消えるでこちらがつける線が生きるのでいいのだが、光の加減によっては残っている線が見えることがある。
そんな時、パンツにあってはいけない検品用語が使われる。
クリーズ線の二重線。
折山線(クリーズ線)付きのパンツにご法度なのが二重線だ。
二重線をつけてしまうぐらいなら、リード線を消してしまうぐらい自分が強くつける折山で上書きしてしまう方がましなぐらいだ。
リード線がなかったことにしてしまうのである。
ここだけの話だが・・・